5/11のと里山農業塾№5

5/20に続いて自然栽培野菜コース№5。夏野菜のナス、ピーマン、キュウリ、サトイモについて。講師はNICE FARM代表・廣和仁氏。

はじめに:早く出荷すると単価も良く必ず売れるので早く植え付けることがあるが、強風でやられるリスクもある。毎年栽培記録を付け(気温、風、桜開花なども)、それを参考に大丈夫と確信してから植えること。1週間早く植えたとしても育ちはそれほど変わらないので焦らなくて良い。なお、強風から苗を守る覆いが下の写真の白いトンネルシート。

強風から苗を守る白いトンネルシート

■ナス

原産:東南アジア(インド東部)、ナス科ナス属、多年生植物、生産適温:最低10~40℃。温帯では1年生植物だが、熱帯では多年生植物。日本では1000年以上にわたり栽培されている。ナスは連作障害を受けやすい。5~7年以上空けないと、障害を起こしやすいと言われている。品種は日本で180種類を超えている。

水やり:植え付け後天気が続く場合、最初の1週間だけ、3日に1度は水やりをする(雨が降れば不要)。根元にやり、葉っぱには水を掛けない。それ以降ある程度根っこが張れば水やりは不要。最初から草マルチをすれば、水気を保ってくれるのでやらなくてよい。但し、草マルチは生の草はダメ、乾燥してから土に載せる。厚く敷き過ぎてもダメ、土が見える程度が良い。

剪定:最初の花は切る。その下から出てくる芽2本を伸ばし、3本仕立てにする。それ以下から出てくる芽はすべて切り取る。

斜めに刺した仮支柱で固定する(下の写真)。苗の固いところと柔らかいところの境界の固い側で、8の字に縛る。麻ひも(バインダー紐)が良い。

実習ナス:品種:「白茄子」(固定種)、圃場:露地(畝上幅70cm×15m・株間50cm×1条)

ナス。斜めに刺した仮支柱で固定

■ピーマン

原産:東南アジア(インド東部)、ナス科トウガラシ属、1年草、生育適温:最低10℃以上。本来ナス科で自家受粉性植物のはずだが、トウガラシ他家受粉率5~20%と高く、トマトやナスよりも交雑しやすい。トウガラシの隣にピーマンやシシトウなどを植えたらダメ。

固定種のピーマンは青枯れ病や立ち枯れ性疫病などの病気に弱い。同じナス科植物との連作は避ける。3年目までは大丈夫だが、それ以降は避けた方が良い。青枯れ病が出た場合、ネギやユリ科(タマネギ、ニンニクなど)を植える。次年度は畝の通路を畝にして、畝を通路に交代する方法で連作障害を避けるやり方もある。

ピーマンを種から育てる場合、発芽するまでは25℃以上のハウスで育てる必要あり。

剪定:剪定しなかったら一時に収穫時期を迎えるが、剪定すれば、長期間一定量獲れる。剪定するときは、曲げた時固いところと柔らかいところの境目で切る。最初の花は摘み取り、その下のわき芽2本を残して3本仕立てにする。それ以下のわき芽は摘み取る。

実習ピーマン(パプリカ):品種:「ぱぷ丸レッド」「ぱぷ丸オレンジ」「ぱぷ丸イエロー」(F1)、圃場:露地(畝上幅70cm×15m・株間50cm×1条)

■キュウリ

原産:東南アジア(インド北部、ヒマラヤ山麓)、ウリ科キュウリ属、つる性1年生、生産適温:20~30℃。根が浅いため乾燥に弱く、高温乾燥が続くとうどん粉病などの病気にかかってしまう。日本のF1キュウリからは苦みと雄花と種が消えてい記、味が無くなり不味くなってしまった。

華南系・華北系:日本古来のキュウリは華南系。雌花が親ヅルの葉の付け根ごとに咲く性質を節成りといい、支柱を立てて栽培するのに向いており、華南系はこの節成り性が強いものが多い。節成り性は日が長く高温なると、衰えて雌花が付かなくなってしまうため、夏までしか成らない「春キュウリ」と呼ばれていた。一方、華北系は「夏キュウリ」。

根は水を好むが、葉は乾燥を好み湿気に弱い。

剪定:12節まではすべてのわき芽を取る。12~16節は左右対称に剪定する。下から30cmの花はすべて摘み取り、株を成長させる(果菜類と同じ)。親ヅルは真っ直ぐ上に成長させる(下向きにさせない)。成長を止めるには上を切る。子ヅルは斜め方向に伸ばす。次は孫ヅル、葉脈と同じように剪定。この木村式は長期間安定して収穫でき、かつ楽。

実習キュウリ:品種:「フリーダム」(F1※ただし自家採種)、圃場:露地(畝上幅70cm×6m・株間70cm×1条)

キュウリ

ブルームレスキュウリ:キュウリが実を守るために出すロウ状の白い粉をブルームというが、ブルームを農薬と勘違いした消費者がブルームレスに飛びついた。

スウヨウ:40cmくらいの細長い品種だが、おいしいのでお勧め。

キュウリのつる:人間の指に巻き付く人と巻き付かない人がいる。木村秋則さんや子供には巻き付く。

サトイモ

原産:東南アジア(インド北部、ヒマラヤ山麓)、タロイモ類のサトイモ科、生育適温25~30℃。栽培は比較的容易、水田などの湿潤な土壌で日当たり良好かつ温暖なところが適する。畑でも水を切らしてはダメ。水以外で注意すべきは、わき芽は取り親芽1本だけにすることとオオスズメガの幼虫。

畝の幅50~60cm、高さ25~30cm。深さ5~8cm(約2倍)に、芽を下にして植える。土寄せしない。

実習サトイモ:品種:「大野芋」(固定種)、圃場:露地(畝上幅60cm×19m・株間60cm×1条)

サトイモ

■ナス、ピーマン、キュウリ共通:水を好む

マルチをしない場合、10~15cmの高さの畝に、1~3cmくらいのくぼみをつけて植え(湿気のため)、上に出して乾燥させる。