10/11岡本よりたか無肥料栽培セミナー№8:雑草堆肥他

10/11のセミナーは「冬の間の土づくり」として、①草木灰、②雑草堆肥、③米糠堆肥、④緑肥栽培、⑤保温、⑥静地の座学と、研修畑で②雑草堆肥の実地研修があった。上の写真は、実地研修で雑草に米ヌカを混ぜ水を入れているところ、その後かき混ぜ山状に盛り、最後に畑の土を被せ完成(下の写真)。

内容はテキストにあるので省略するが、それ以外で参考になりそうなことを備忘録として残しておく。

  • 草木灰は、速効性のある肥料として用いる
  • ②雑草堆肥は、肥料というより「土づくり」の一環として行うもので、これだけやっておれば良いメインの堆肥。チッソもリンもカリウムも補う。畑の雑草以外に山の広葉樹や針葉樹の葉っぱ、コケを入れると良い、油かすも良い。秋に仕込んで5月に使う場合、2月までは雑草(+米糠)を足していっても良い。盛った山は沈んで行きどこで作ったか分からなくなるので、囲いをしておくと良い。猪が出る場合は上にも蓋をかけて(ブルーシートでもよい)入れないようにする。また穴を掘ってその中で作るのも、土の力が強くなり腐敗しにくくなるのでなお良い。カビの匂いがしたらまだダメ、山の土の匂いがしたらOK。雑草堆肥をやると5年で土ができるので(土が暖かくなってくる)、その後は何もしなくても良い(やるのは敷き草くらい)
  • ③米糠堆肥は、①同様、速効性のある肥料。米糠は種の代わりでリンを補うが、植物の中で一番多いカリウムが不足するので、これだけ与えてもダメ。なお発酵液は、テキストにあるイースト菌を使う方法以外に、米麹で作る甘酒で代用しても良いし、保温器がなければ最悪水でも良い。水の欠点は腐敗する可能性があることと時間がかかること
  • ④緑肥栽培は、大きな畑があり(3反を超えると雑草堆肥づくりが現実的でなくなる)冬場に作物を作らない場合、9月にアブラナ科の緑肥(例えばカラシナ等)の種を蒔き、翌3月に刈取りすき込む。窒素を補って土づくりする。(春蒔き、9月すき込みの緑肥もある。)
  • ⑤保温は、土ができており作物が冬を越す場合、ワラ(またはワラ+米糠堆肥)を敷く
  • ⑥静地は、土が出来ている場合、冬の間は土をいじらない。いじるとバクテリアが死滅するので、特に1~2月は敢えて土を凍らせて空気層を入れ、バクテリアを眠らせる

以下、質疑応答を通してためになったことを記しておく。

化学肥料を入れた畑の土は冷たく固く締まっている

水を入れて2時間以内に滲み込まなければ、春に土の掘り起こし(天地返し)が不可欠。また当初は残肥で作物は良くできるが、必ず3~4年でできなるので、雑草堆肥を入れる必要がある。

堆肥と化学肥料の違い

堆肥は土づくりの一環、団粒化してバクテリアを増やす。化学肥料はどんな土でも野菜ができるビタミン剤。行き着いた先が水耕栽培で、あらゆる肥料分を水に溶かす技術。

牛糞や鶏糞も堆肥だが、ワクチンや抗生物質が入っており(薬漬け)、バクテリアを殺すので使わない。自然放牧に比べ7倍の密度で飼っているので、循環させるには量が多すぎる。牛糞も鶏糞も産業廃棄物で処理に困ったので、家畜排せつ物法や食品リサイクル法、有機JAS法を作って農業を捨て場にした。自然放牧状態の牛糞や鶏糞なら自然循環の中で出てくるので使ってOK。

除草剤に入っている界面活性剤が土を壊す

草は自然に水をはじく機能を持っているが、除草剤(ラウンドアップ等)はその機能を壊す。

イネ科の特殊性と除草剤

水の中でも育つイネ科は特殊で、根からではなく葉っぱから酸素を取り込んで根に送る。イネ科に蒔く除草剤は根から吸収されるので、根から酸素を吸収する通常の草には効くが(同時に田んぼの生態系を壊す)、イネ科は根から吸収しないので効かない。よってヒエやアワは生えてきて、土の表面から栄養を吸収するイネと競合して弱らせる(イネが草負けする)ので抜くしかない。その他の水草等は放っておいても競合しないが窒素の奪い合いはあるので、生えない方が良い。

バクテリアの3容態

  • 好気性菌:酸素がないと生きていけない。土の表面から下15~20cmに生息、植物の根に栄養(アンモニアや窒素)を作って与えている
  • 通気性嫌気性菌:嫌気性だが酸素があっても死なない(乳酸菌や麹菌など)。上記の下に生息し、有機物を分解する
  • 嫌気性菌:酸素があると死滅する。一番深いところで生息し、岩を分解して砂にしている

自然栽培との違い①:無効態リン酸を有効態に変える農法

自然栽培では米ヌカもワラもすき込まないので、リンが不足する。裏作やコンパニオンプランツで根酸を出す植物を栽培することで(例えばトマトの近くに大豆を蒔いたり、アブラナ科を混植する)、土の中にある無効態リン酸(鉄等と化合して使えない)を植物が使える有効態リン酸に変え、リン不足を補っている。米ヌカもワラも入れる自然農法は感覚的にできるが、自然栽培は難しい。

自然栽培との違い②:縦循環のみの農法

自然農法は、山から下りてくるミネラルを山の葉っぱから取り込み(横循環)、伏流水から草が取り込んだ山のミネラルを使う(縦循環)が、自然栽培は縦循環のみを使う。因みに、慣行栽培は循環させないので、山の鉱物から化学肥料という形で横循環を使う。

大豆の条間は最低60cm空ける、株間は30cm

条間が60cmより狭いと水の奪い合いになり小さなものしかできない、また作業もできない。よりたか氏は管理機の幅が80cmもあるので条間90cmと広い。麦との混植も良い。大豆は鳥害に遭いやすいが、麦が育っていると目隠しになり大豆は守られる。太い棒2本で挟むだけでも鳥は棒を超えられないので防げる。双葉は美味しいので食われるが、本葉が出ると苦くなり狙われなくなる。